からっ風(2016)アーム スライダリンク設計方法
1.アーム概要
図 アーム概要
アームの構造はこんな感じです。
直線のスライダリンクと比較すると
・低速域のリンク比は同じ(変えることもできる)
・動作角度を広く取ることができる
・アームのトルクをある程度任意に調節可能
アームに使用した際の問題点は過去の制作物を参照してください。
2013年から採用中
過去の制作物
2.作り方
適当に書いても動きますが、去年から下記の方法でスライダの軌跡を決めています。
直線スライダ※の特性を基本として、動作角度を変更させていきます。
※ここではクランクピンからスライダピンまでを直線で結んだものと定義
適当に書くと検証が大変なので、書きやすくするために
下記の設計シートを使っています。
図 設計シート全体
図 設計シート拡大
同心円:
・クランクが回転した際のクランクピンからスライダピンまでの距離。
・クランクの回転15度ずつ記入
・横軸の数字は対応するクランク角度(スライダピンから最も遠い位置を0度)
円中心からの放射上の線:
・直線スライダの揺動角度からの角度オフセット量(15度ずつ線を引いた)
・たとえば、ある地点のアーム角度が直線スライダ45度+オフセット15度の場合、
本リンクのアーム角度は60度となる。(直線スライダより15度大きく動く)
黄色い曲線:
・今回設計したスライダ曲線。最大72度のオフセット
・今回はクランク無限回転に対応(0-180度の円までスライダ曲線を作った)
スライダ曲線設計時のルール
・0度―180度の同心円の内側であること
・あるクランク角度に対してスライダの位置が一点に決まること(「戻り」はNG)
・そこそこ滑らかな曲線であること。多少の角は問題なし
3.完成
完成したリンクが下記のものです。
上方向の動作角度を稼ぎたいので、アームの取り付け角度を上に向けています。
実機でも動きました。
図 アーム形状
【補足】直線スライダとの違い
直線スライダ(青)と今回の曲線スライダ(赤)の角度の比較です。
横軸・・・クランク角度(スライダから最も遠い位置を0度)
縦軸・・・アーム角度(直線スライダでクランク角度0度の位置を0度,+が上方向)
クランク角度90度くらいまではあまり変わりませんが、100度を越えたあたりから動作角度が広がっています。
±40度程度のリンクが上方向に+45度くらい広がっているのがわかります。
動作角度が広がっている分、トルクは落ちるので注意です。
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